メタボリック症候群とは
太っている人より、お腹だけが”ポコッ”としている人の方が「メタボ」「メタボリック症候群(シンドローム)」という言葉が合っているように思われています。でも、太っている人が「メタボ」ではないということではありません。本来、メタボリック症候群とは内臓脂肪型肥満に加えて、高脂血症、高血圧、高血糖などの症状を併せ持った、病気の手前の健康状態をいいます。しかし、「病気と診断される程でもないので、まだ気にしなくてもいいのだろう」と思いがちですが、一つ一つの症状が軽くても2つ以上の症状が重なった場合には動脈硬化に進行する危険性が飛躍的に高まりますので注意が必要なのは間違いありません。
メタボリック症候群の人は、内臓脂肪の蓄積によって生活習慣病、すなわち糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている疾患にかかりやすくなってしまいます。それに、健康な人に比べて糖尿病には5倍、脳卒中には4倍かかりやすいことが分かっています。
もちろん、早期に対処しなければ、生命に関わる重大な事態に陥る可能性が高いのです。
メタボリック症候群と診断された場合には一つ一つの症状が軽くても動脈硬化に進む危険率が高く、命に関わる重大な病気を招くと考えられます。
診断基準によって自分の健康状態を知り、メタボリック症候群の予防や改善に取り組むことが求められています。
メタボリック症候群の原因
メタボリック症候群になる原因は主に生活習慣と考えられていますが、具体的に次のようなことが挙げられます。高カロリーな食事
食生活で高カロリーな食事ばかり摂ることであったり、偏食や不規則な食生活でも内臓脂肪を蓄積しやすくなりメタボリック症候群になりやすくなります。栄養のバランスの取れた食事を毎日三食、規則正しい時間帯で摂ること、そして野菜中心の食事に魚介類を取り入れ、肉類を取る回数を減らすことなどが理想です。
睡眠不足
一日7時間から8時間ぐっすり眠っていれば健康的な睡眠といえますが、睡眠時間が6時間以下や9時間以上の人に糖代謝異常が多く見られ、また睡眠不足の人が肥満になりやすいという報告もあります。睡眠は体の休息、ホルモン分泌に大きく関わっており、適切な睡眠時間を規則的に摂ることがメタボリック症候群の予防になります。運動不足
メタボリック症候群はカロリー消費や内臓脂肪の燃焼、ストレス発散のために運動は欠かせないことです。毎日無理のない運動を習慣的に行うことが大切です。過度なストレス
過度なストレスも中性脂肪を増加させ、高血圧や高脂血症などになりやすくなります。運動や自分の趣味などでストレスを解消するようことが大切です。
タバコやお酒などの嗜好品
特にたばこはメタボリック症候群の症状をさらに深刻にしてしまうため禁煙する必要があるでしょう。メタボリック症候群の診断基準
「メタボリック症候群」は最近発見された新しい病気というわけではありませんが、2005年に日本内科学会からメタボリック症候群の診断基準が発表されました。現在の「メタボリック症候群」と呼ばれているものは、かつて食生活や運動不足が原因で発症する病気は「成人病」と呼ばれていました。そしてその後には「生活習慣病」と呼ばれていました。
2005年に日本内科学会からメタボリック症候群の診断基準が発表され、これにより日本人に即した診断基準が明確となり、自己診断が容易にできるようになりました。また近年日本で始まった特定健診制度の基準となるなど、メタボリック症候群の予防としても広く活用されています。
検診等で測定される腹囲基準に加え、高脂血症、高血圧、高血糖の基準値に2つ以上該当すればメタボリック症候群と診断されます。
男性では腹囲が85センチ以上、女性では90センチ以上
診断基準の一つは腹囲であり、この数値が内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当し、内臓脂肪が過剰であると判断されるからです。基準ではこの状態にある人を「要注意」のレベルとしています。中性脂肪値やHDLコレステロール値の基準値
高脂血症では中性脂肪値が150mg/dl以上、またはHDLコレステロール値が40mg/dl未満に当てはまること。高血糖の基準値
高血圧では収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上であることです。そして高血糖では空腹時血糖値が110mg/dl以上であることです。特定保健指導
2008年4月から始まった特定健康診査では、中高年の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック症候群に該当すると言われています。また子どものメタボリック症候群も深刻な社会問題となっています。その健診の結果によって「特定保健指導」を受けることになります。
この特定保健指導に該当する人は、まず腹囲が男性で85センチ以上、女性では90センチ以上に当てはまる人達です。また、肥満度や血糖値、コレステロール値、血圧の測定値が悪い人も保健指導に該当します。
実際の保健指導は医師、保健師、管理栄養士によって行われ、健診の検査値と診断によって「情報提供」「動機づけ支援」「積極的支援」と三段階にレベルを分けて指導が実施されます。
本格的な個別面談やグループ指導、電話やメールなどによって、3か月から6か月にわたって保健指導が行われるのは「動機づけ支援」「積極的支援」の2つです。特に「動機づけ支援」は「積極的支援」をするほどでもないが、近い将来メタボリック症候群になる可能性が高いと判断された人に行われます。そして、「積極的支援」は早急に生活習慣の改善が必要と判断された人に行われる指導です。
始まったばかりの特定保健指導は、メタボリック症候群の予防だけではなく、生涯にわたる有効な健康管理に役立つものとして効果が期待されています。
特定健診制度
増え続ける医療費に歯止めをかけるための政策として始められた特定健康診査であり、メタボリック症候群の予防と早期発見を踏まえて国の医療費を年間約6兆円減らそうとしています。特定健診では企業の健康保険や国民健康保険に加入している40歳から74歳までの本人とその扶養家族が、年に一度受ける健診で、医療保険者が責任を持って健診を実施することが義務付けられています。
そしてこの健診制度によって中高年のほぼ全員が特定健診を受けることになります。
実際の健診ではメタボリック症候群の判定基準の一つである腹囲とLDLコレステロール値が追加されており、検査値を調べるだけではなく、メタボリック症候群を見つけるための本格的な健康診断となっています。
また健診の結果が悪かった場合には医師や保険師、管理栄養士による「特定保健指導」によって日常生活についての指導を受けることになります。
特定健診は自覚症状がないまま進行するメタボリック症候群の早期発見や予防だけではなく、一人一人の予防意識を高め、多くの人が健康的な生活を送ることも目的の一つとなっています。
特定健診制度と医療費
増大している医療費の内訳をみると、約3割は生活習慣病、中でも糖尿病に関連した費用が最も多くなっています。そこでメタボリック症候群の人を減らすことが医療費の抑制につながると考えられるのです。肥満、高血圧、高コレステロール、高血糖の4つについて異常がある人は、異常がない人に比べて10年後の医療費が3倍以上になると予想されています。
また喫煙、肥満、運動不足などの不健康な生活習慣によっても医療費は増大すると予想されています。そこで特定健診制度では専門家による運動や食事療法を取り入れ、効率的に生活習慣の改善を図り、生活習慣病を予防することを目指しています。
特定健診によってメタボリック症候群とその予備軍の数を5年後には平成20年度時点の10%減、10年後には25%減になることを目標としています。